漫画家と役者に見る、プロとして食べていくということ

こんばんは。
Facebookには書いていましたが、今年も演劇ワークショップの卒業公演が無事に終わりました。
2年目ということで、ひよっこだった去年よりは良い芝居を作れたのではないかな、と思っております。
見に来てくれたときにいただいたお花で、私の部屋は一気に春らしくなりました♪

さて、それはさておき、今回やっていて、プロとして食べていける役者とそうでない役者の違いとして見落とされがちな点に気が付きました。
それはよく、トキワ荘プロジェクトの中で漫画家志望者に対しても言っていることなので、先にその話をします。

トキワ荘プロジェクトでは、漫画をつくる力を「創作力」と「制作力」に分けて話をすることがあります。
「創作力」とは、ストーリーやキャラクターを生み出す力。
「制作力」は、単純に漫画を描く力。

漫画家になりたい人は「創作力」ばかりに注目しがちですが、実際に週刊や月刊で連載を続けるためには、継続的に原稿を上げる「制作力」も非常に重要です。
1年間かけて超大作を一本描くような人は、週や月でちゃんと締め切りまでに決まったページ数を上げてくることが求められる連載作家にはなれないのです。

この話を知っていた上で、役者の世界を見てみると、役者にも同じようなことが言えるな、と気付きました。

今回、私は台本をもらってから本番までに約3ヶ月あり、土日はほぼ練習に費やしていました。
通勤しながら頭の中でセリフを反芻し、演出家の先生に何度もアドバイスをもらい、一緒の場面に出ている役者と繰り返し打合せをして、それでやっと、1時間の舞台を1つ、どうにか形にしたような状態です。
しかし、実際にプロとしてやっている役者さんは、ドラマやら映画やら舞台やらで色んな役が平行していたり、もっと短い時間で本番になったりしていると思います。
NHKの朝ドラとかは本当に大変と聞きますが、おそらく漫画家で言うところの週刊連載みたいなものでしょう。
セリフを覚えるのも、役作りをするのも、時間がかかりすぎるようであればきっとやっていけません。

社会人になったら多くの人が教わることですが、“仕事”として物事に取り組む場合、納期は非常に重要です。
例えば、新人の最初の仕事としてよく任される会議の議事録も、完璧な議事録を一週間かけて作るより、不完全でも要点が含まれているメモがその日のうちに共有されることの方がずっと価値があります。
むしろ、どんどん状況が変わる中で一週間後に出てくる議事録など、何の意味もない、という職場も少なくないでしょう。

クリエイティブな世界においては、才能とか新しい発想とかが全てと思われがちですが、プロとして作品作りをしてお金をいただくからには、「納期までに仕事を仕上げる」ということを見失ってはいけないのだろうな、と改めて思ったのでした。


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