地域で生きて行くのは、大人が思っているより難しい

こんにちは。
金曜日から今日にかけて、山形で行われていた「学びを通じた地方創生コンフェレンス」に参加してきました。
地域×教育というテーマに出会い、人とつながり始めたのがちょうど去年の今頃。
今回も多くの方と出会い、様々な気付きをいただくことができました。

私が今回実感したのは、「若者が地域に入って生きて行くのは、大人が思っている以上に難しい」ということです。
地域に入って生きて行く、というのには、2つの要素が求められます。
(1)生計を立てること(食べていくこと)
(2)地域に貢献すること

単純に(1)だけでもとても難しいことです。
よく言われるように、地域には仕事がないためです。
もちろん、銀行員や郵便局、市役所や学校などはありますが、数も分野も限られます。
他にも企業の社員として働いている友人がいますが、サービス業中心ですし、正社員でも給料が安くてこっそり副業をしている友人もいます。
工業系の仕事でも、契約社員の人も多いです。

私が「難しい」という表現を使っているのは、「できない」ということではないと思うからです。
ただ、都会よりも「難しい」。
「仕事の面白さ」、「待遇」、「社員教育の充実度」などが同等の仕事が都会と地方にあったとすると、都会ではレベル5の人でも採用されたのに、地方だとレベル10じゃないと採用されない、みたいなイメージです。
実際、同じ「小学校の先生」でも県によって採用される確率も人数も大きく違いますので、私の高校の同級生は、現役で正規採用されることを優先し、愛知と千葉で試験を受けて、千葉で先生をやっています。
彼女は熊本が嫌いだったわけでもありませんし、熊本で受けて受かるなら熊本に行ったと思いますが、現状の倍率でもし熊本にこだわっていたら、今も非常勤だったかもしれません。

さらに(2)が求められます。
もちろん、(2)を若者が求められること自体は、否定しません。
地域のお祭りに消防団、青年会など、必要とされている場もあります。

しかし、地域のコミュニティが機能し、上記のような場が活発ならまだしも、失われつつあるものを復活させよと言われると、難易度が上がります。
例えば、地域に子ども会が残っていて小さいころから活動に参加し、地域のおじちゃん、おばちゃんとのつながりや、同世代との結びつきが作られていて、それで20代になってお祭りやろうよ!と当時の仲間に声をかけらるのをパターンA。
子ども会もなくて地域の人とそもそも関わらずに大人になり、それで20代になってどうにも人手が足りないと知らないおじさんに頼まれ、知らない人の中に放り込まれてやるのをパターンBと考えます。
パターンAでやっていた人が、「俺らも若いときはやったんだよ!」と主張しても、パターンBに置かれた若者は「いやいや、待って!」と思うのは無理からぬことです。

正直、この「難しさ」を解消することは、少なくともすぐにはできません。
つまり大事なのは、「地域に入って生きて行く」ことが、都内の一部上場企業に務めることや、海外赴任することと、同等もしくはそれ以上に難易度の高いことである、ということを前提に教育を考えなくてはならない、ということです。

そう考えたときに、この「難しさ」を乗り越えられる人材を、大学は育てられているのか、ということを思ってしまいます。

例えば経営学一つをとっても、すでにシステムが出来上がっている大企業で働くための経営学と、街の商店をまわしていくための経営学では、学ぶべきことは大きく違います。
さらに大企業であれば、入ってからも研修を受け、先輩たちの様子から学び、やっていくことができますが、地方の商店であればいきなり本番です。
ちょっとのミスで(例えば発注数のミスで)、もう倒産、なんてことも起きかねません。
後者を育てる方が、ずっと大変だと思います。
しかし、そんな人材を育てるのか、ちゃんとフォーカスすれば、育てられない程ではありません。

さらにちょっとだけ余計なことを言うと、昔より今の若者の方がずっとちゃんとしているとか、私が若いときなんてそんなこと考えてなかった、という言葉は、私は実はあまり好きではありません。
なぜなら、時代の移り変わりもまた生きることの難易度を上げているので、昔の80点が今は30点、みたいなことが多々起きているからです。
同じ商店の経営でも、Amazonができる前の難易度と同じに考えたらダメなのです。

とは言え、私は地元に帰って働いているわけではないので、実際に地域に入って生きている友人に聞いてみたら、そんな難しく考えなくても・・・と言われるかもしれません。
それもまた、都会で働いたことがないと、比べることができないのですが。

そんなわけで、今回のフォーラムではこの辺りは本筋ではないのですが、色々な実践や考えを聞く中で、こんなことを考えたのでした。
引き続き、この中で高等教育をどうしていくべきか考え、自分のできることをやっていきたいと思います。


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