悪意に対処する術を、子どもたちはいつどこで身に着けるのだろう

少し前になるのですが、なりすまし詐欺の受け子が現行犯逮捕されたニュースを見かけました。逮捕されたのは22歳の男性、逮捕された瞬間に泣き崩れている様子が映像で流れ、取り調べでは「何も分かりません」と答えている、というニュースでした。

真意は分かりませんが、彼は自分がどれだけ悪いことをしていて、どれだけ社会的にもリスクの高いことをしているのか、逮捕の瞬間まで分かっていなかったのでは。そんな印象を受けました。

学校での講演の際、学生のうちにこういうことをやっておこう、ということ伝えてほしいという依頼を多く受けます。
挑戦しよう、学ぼう、多くの経験を積もうなど、人生を前向きにしていくためのメッセージです。

一方でふと、悪意にどう対処するか、どうすれば(加害者としても被害者としても)犯罪に巻き込まれないのか、それはいつ誰がどうやって教えるのだろう、と思ったのです。

前提として書いておきますが、どんなに自覚がなく、首謀者に騙されていたとしても加害者は加害者です。 またどんな状況であれ、悪いのは加害者であって、被害者ではありません。
ただし、どんなに取り締まっても悪意のある人はいて、自分に近づいてくる可能性はあります。

犯罪ではありませんが、学生団体の活動に無償で協力する大人の中にも、自分の仕事のために学生を利用しよう、という人をよく見かけます。
私自身、大学時代に友人の誘いを受け、起業サークル主催のセミナーで有難い?社会人の話を聞いたことがありますが、実際は怪しい投資話でした。大学の教室で行われていましたし、私も上京したての大学1年生だったので、もっとピュアだったらその社会人のことを尊敬の眼差しで見られたかもしれません(笑)

就職活動におけるセクハラ被害も大きな問題になっています。OB訪問や長期のインターンシップの中で夜間に個別で会うチャンスが生まれ、内定を餌に性的接触をするという卑劣な手口です。
もちろん、悪いのは加害者ですし、被害者側が「就職に響くのではないか」という弱みを握られている状態であることは分かります。だからといって、避ける術を身につけなくていいわけではない。

程度にはよりますが、小さい頃のちょっとしたケンカやモノの取り合い、いじわるをされた、みたいなことを大人が干渉するのではなく、自分で対処するところから始まって経験を積んでおかないと、悪意に対応できなくなってしまうのでは、と思ったのでした。