仕事は大変で辛いもの?

キャリア教育の講話に対する先生方の要望で、仕事の大変さや厳しさを語って欲しい、と言われることがあります。

確かに仕事って楽しいだけじゃないので、大変な面も伝えた方が良いことは分かります。
しかし「ほら、社会は甘くないんだぞ。学生のうちから規律正しく、しっかり勉強して備えるべきだぞ」みたいに伝えて自分たちが指導しやすくしたいのかな、とも思ってしまうのです。

何かで見たのか読んだのか、すっかり忘れてしまったのですが、若い農家の方が子どもの田植え体験に対して「田植えなんて今はみんな機械なのに、手で植える体験をさせるから農業は大変だと思われて敬遠される」みたいな話をしていたのがずっと印象に残っています。
もちろん、機械を使っても大変な部分はあると思うのですが、「大変さ」を伝えるのが先に立ってしまって、「今の農業」や「農業の楽しさ」が後回しになっているのかな、と。

ちなみに私自身も小学生のときに田植え体験をしましたが、もちろん手で植える方法でした。
小さな田んぼで、学年で100人くらいいたので、こんなに狭くて私がやる分ほとんどないんじゃないかなと始まる前は心配したのに、すごく時間がかかって汚れて疲れて、こんなに大変なのかと驚いたことを覚えています。

これ以外にも、
「学校での勉強は大事」
「継続は力なり」
「将来の目標を立て、それに向かって努力しよう」
などなど、学校に都合の良い気がするメッセージの要望はいくつもあります。

どれも間違いではないけれど、正解でもなく、一つの側面であることを伝えていきたいなと思うのでした。