志望理由書へのもやもや。2 解決の方向性を探る

こんばんは。
最近ようやく朝と夜は涼しくなってきましたね。

先日、大学の志望理由書についての記事を書きましたが、それについて感想をくださった方がいて、その視点がそれぞれで面白かったので、今日はそのことを書きたいと思います。
ちなみにその時の記事はコチラ→ 志望理由書にもやもや。

一人目は一緒にお仕事をしている、高大接続プロデューサーの倉部さん。
興味を持って下さったポイントは、入学したらこういう大学生活を学びたい、と希望を書いたところで、実際にそうならないことを知っている、という点でした。
具体的には、以下の部分でしょうか。

実は上の弟が、今回志望理由書を書く大学・学部を卒業しているので、何が特徴?と聞いたのですが、あっさり「何もないね」とのこと。
WEBサイトを見ると、教養教育とか、卒業生の活躍とか定番のことが書いてあるので、とりあえずそのことを書かせてみたのですが、私としては他大学も同じことを書いていると知っているので違和感がありますし、上の弟は弟で卒業していても実感がないので、取って付けたような文章になってしまいます。

色々なジレンマを感じる部分です。

二人目は高校の先生で、「弟さんはこれまで、こういったことを問われる機会がなかったんだね」という感想をいただきました。
弟は考えるのが苦手、こういうことを考える習慣がないのだ、とは思っていましたが、そりゃ機会がなかったのだから仕方がない、と気づきました。
いつもこのように、個人の問題としてではなく、仕組みの問題として捉えることを仕事にしているのに、身内となるとやはり見失ってしまうものですね。

そして実は、私が今回のことで一番もやもやとしていたのは、「志望理由書」という選考書類の雑さです。
選考の設計の視点で考えると、そもそも「志望理由を書きなさい」というだけのざっくりとした質問で、1000字もの文章を書かせるのはどうなのだろう、と思います。
面接の材料にするだけで、これで合否を決めるわけではないとは言え、
・志望する学問に興味を持ったきっかけ
・その大学、学部を出て、将来どうしたいのか
・どんな大学生活を送りたいか、そのために大学をどう活用するか
など分けて質問をするだけで、書く側の書きやすさは違いますし、読む方としても高校生が書いてくる内容にバラつきがなくなって読みやすくなると思います。
またアドミッションポリシーに照らせば、「コミュニケーション力」や「課題発見能力」などの一般的なスキルや志向性を測る設問がないと成立しないかもしれません。

今回のケースに限って言えば、学力試験とセットで行われる面接のための書類なので実質的には影響は小さく、精度を問題にするのは違うかな、と思って前回のような記事になりましたが、本当はこのようなことを感じていたのです。

こうして、いただいた感想や思っていたことなどを整理すると、
・高3までの間に、自分の考えや将来について問われる機会があり、考える習慣がついていないと、急に志望理由書を書けと言われても書けない(=初等中等教育の課題)
・「志望理由を書け」という大雑把な設問では、書きにくいし、APへのマッチ度が測れない(=入学者選抜の設計の課題)
・実際に志望理由を書いたところで、大学の実態とマッチしていない可能性がある(=高等教育の中身の課題)
といった3点が見えてきました。

大学入試の設計については、おそらく今後の大学入試改革の中で議論されていくものと思いますが、立場によって関心部分が違うことが面白く、記事にして良かったな、と思いました。


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